第10回 風光る桑名ノ浦の貝桶

平安時代から伝わる日本の遊び『貝合わせ』
一対の蛤の内側に絵を描き、美しさを競ったり、歌を詠んだり、雅な世界が広がり
のちに伏せた蛤の中から一対を選ぶ遊びへ
その貝合わせの蛤を収めたのが八角形の貝桶です。
公家や大名家の姫君の嫁入り道具として、金銀の蒔絵など見事な装飾が施されました。
今では、姿を消しつつありますが、雛人形の脇役に貝桶を見つけることも・・・


この貝桶は、神戸でお茶と茶道具を扱う専門店からお預かりしたもの。桑名・七里の渡しの蒔絵が施された貝桶に、四季の草花が描かれた57対の蛤が収っています。「その手は桑名の焼き蛤」とことわざになるほど、桑名は蛤の産地として有名で、桑名出身の先代が京都で別誂えしたものだそうです。
展示ケースに入った美術品ではなく、手にすることができる伝統工芸品の貝合わせには滅多に出会うことはありません。
眠ったままにしておくのは惜しいと、今回、ギャラリーでご覧いただくことに。女性が集う場をお持ちの方など、ご希望があればお譲りすることも。ご興味のある方はお問合せください。